- 日本・江戸時代 17世紀
- 絹 1領
- 丈109.1cm 裄49.5cm
- [70180]
もとは赤色の地に立涌文様が摺箔(すりはく)の技法で、雪の降り積もった松の模様が刺繡であらわされた子方(こかた)の能装束である。摺箔は、絹地に型紙をあてて糊を置き、その上に金箔や銀箔を貼りつけたもので、刺繡と併用されたものは縫(繡)箔と称される。縫箔の美しさは、摺箔による金の輝きに、ふっくらとした色鮮やかな刺繡糸を組み合わせた質感にある。この縫箔は、雪持松の幹や根張りの力強い表現、刺繡の色替りの技法、狭い袖幅などが桃山時代の特徴を継承している。仕立直しの跡があり、当初の寸法より袖幅が広く、胴の部分が狭くなっているが、江戸時代初期の優品である。
