
![2017/03/03 [NEZUNET会員特別ページ]「更紗の魅力」の展示作品より](images/nezunet_20170303_2_title.gif)

茶道具の箱を包む更紗
更紗は茶の湯の世界では、道具を収める箱の包み布として利用されました。茶入や茶碗などの袋には、すでに「名物裂(めいぶつぎれ)」と呼ばれる金襴(きんらん)や緞子(どんす)の裂が使われていたので、更紗が仕覆(しふく)などに用いられることは少なかったようです。

「唐物文琳茶入 銘 白玉」と更紗
天明5年(1785)版行の『更紗図譜(さらさずふ)』によれば、茶入「白玉」の仕覆箱包「白地山鵲唐草文更紗」は「山鵲手(さんじゃくで)」と称されています。山鵲とは尾が長いカラス科の鳥の一種で、鳥の文様にその姿を連想したためでしょう。「山鵲手」には、地色が薄い藍色のものも伝わっています。

「新兵衛瓢箪茶入 銘 空也」と更紗
茶入「空也」の内箱包布「藍地花入亀甲文更紗」の亀甲とは、六角形が連続する文様が亀の甲の筋に似ているための名称で、古代から日本人に好まれてきた文様です。インドが日本の好みを反映して輸出用に制作した更紗の一例で、異国情緒がありながら、茶道具にもよく似合っています。

「堅手茶碗 銘 長崎」と更紗
茶碗「長崎」の内箱包布「茜地縞花唐草文更紗」に見られる、茜地に白く細長い文様が一列に連続して並ぶ表現は、インドがタイ向けの輸出用に染めた更紗の特徴を示しています。日本でも好まれ、「紗室手(しゃむろで)」と称されています。

「青磁算木文香炉」と更紗
18世紀末頃からオランダやイギリスなどのヨーロッパ諸国で、インド産更紗の模倣品が作られるようになります。茶道具を包む、こうしたヨーロッパ更紗がどこの国で作られたのか明らかではありませんが、最近日本で展覧会が催されたフランス産の更紗を見ると、フランスでは独特な意匠の製品を作っていたことがわかります。

「交趾大亀香合」と更紗
ヨーロッパ更紗は、香合、ことに交趾(こうち)香合の包布として使われています。幕末の安政2年(1855)に「香合番付」が作られた頃、交趾香合など唐物香合が注目され、新しい感覚の更紗が使われたものと思われます。

墨跡の箱を包む更紗
更紗は、掛け軸などの「たとう箱」の外側に貼られることもありました。多くの場合、中に収められるのが禅僧などによる書、「墨跡」であるのも興味深く思われます。一種類の布を貼る場合と様々な更紗を張り合わせる場合があります。