鈴木其一筆「夏秋渓流図屏風」が国の重要文化財に

夏秋渓流図屏風 鈴木其一筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 19世紀


このたび、根津美術館が所蔵する鈴木其一筆「夏秋渓流図屏風」が、国の重要文化財に指定される運びとなりました。

渓流が流れるヒノキの林。右隻はヤマユリの咲く夏の景、左隻はサクラの葉が赤く染まる秋の景です。発色のよい群青と金泥で描かれた渓流のねっとりとした表現、ユリやサクラの葉の克明な描写に対して単純化されたクマザサ、増殖するようなコケ、右隻の右から3本目のヒノキに真横向きにとまるセミなど、一見写実的な描写に非現実的な感覚がにじみでています。

筆者の鈴木其一(すずき・きいつ 1796~1858)は、江戸琳派の祖・酒井抱一(さかい・ほういつ 1761~1829)の高弟ですが、琳派の枠にとどまらない個性的な画家として近年、再評価が進んでいます。40歳代半ばの作と考えられる本作品は、近代絵画を先駆けるとも評される其一の芸術性が集約された、文字通りの代表作です。

江戸琳派の奇才・其一の作品が重要文化財に指定されるのは、今回が初めてです。またこれによって、当館の重要文化財の数は88件になります(国宝は7件、重要美術品は94件)。

この作品は本年、当館で開催される下記の特別展で展示の予定です。

財団創立80周年記念特別展「根津美術館の国宝・重要文化財」
2020年11月14日~12月20日
※会期中に展示替えがあります。展示期間等の詳細は、後日当館ウェブサイトでお知らせします。

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